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第6号(毎月15日発行)
(株)清武建設 編集室
発行責任者:清武修一
〒838‐0801
福岡県朝倉郡筑前町栗田957 |
LOHASな消費者って? LOHAS(Lifestyles Of Health And Sustainability)
ローハス(ライフスタイルズ・オブ・ヘルス・アンド・サスティナビリティ)
米国ではここ数年、環境と人間の健康を何よりも優先し、持続可能な社会のあり方を志向するLOHAS(Lifestyles Of Health And Sustainability
の頭文字をつないだ造語)と呼ばれる人々(ローハスな消費者たち、と考える方がいいかも)を対象とした商品やサービス市場が急成長しています。地球温暖化阻止に対する消極姿勢や、イラクへの軍事攻撃など、タカ派的志向ばかりが目立つ米国での話というのも不思議な気がしますが、LOHASな人々、そしてLOHASビジネスはそんな米国で、世界で着実に広がっています。
LOHASという言葉(概念)は、米国の社会学者のポール・レイという人が、1998年に始めて使った造語です。15年間にわたって全米15万人を対象に実施した価値観調査で、従来のトラディショナル(信心深い保守派)、そしてモダン(民主主義と科学技術を信奉する近代主義者)に次ぐ、第3の価値観集団としてLOHASを実践する生活創造者「カルチャー・クリエイティブ」(Cultural
Creatives)の存在を実証したのがきっかけで認知度が高まりました。自分の健康なライフスタイルに気をつかいながら、同時に地球環境や自然保護に気をつかう人たちの総称です。
OHASは世界で1億人超!
今やLOHAS市場という言葉も生まれ、急成長するマーケットとして注目されています。レイ氏らによると、米国では、成人人口の30%にあたる5000万人がLOHASで、市場規模にすると約28兆円になると報告されており、年々増加の傾向を見せています。EU圏内でも約8千万人、全世界のLOHAS市場は実に65兆円以上と報告されています。では一体、LOHASとはどのような人々なのでしょうか?まず、皆さんの“LOHAS度”チェックをやってみて下さい。
□地域社会を再生したい □異文化に興味がある □持続可能な地球環境を支持する □自から質素な生活を目指すのは素晴らしい
□なにより大切なのは人間関係だ □社会的成功を最優先しない
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□女性の社会進出は当然だ □私は人助けやボランティアをしている □自分が何者なのかを常に考えている □政治に諦めを感じてはいない □創造的時間を大切にしたい
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いかがでしたか?あてはまる数が多い人ほど、LOHAS度が高いといえます。レイ氏らの調査によると、米国のLOHASは、▽特定の地域性はなく、全米各地に存在 ▽平均年齢42歳 ▽3割が大学卒で、年収は全米平均以上 ▽6割が女性−ということです。また、「地球環境の持続可能性を重視する」「理想社会を実現するために率先して行動する」人々が多いという点で、これまでのトラデディショナル(保守派)やモダン(近代主義者)たちとは大きく異なることが分かりました。つまり、簡単に言えばLOHASとは「健康意識と地球環境保護(エコ)意識」の高い消費者のことを指します。日本では、このような明確な分類はありませんが、一般的に健康意識の高い消費者はエコロジーに対する関心も高いといえそうです。例えば、小さな子供をもつ母親の間でも、子供の食品アレルギーを通じて、有機農業やリサイクルに関心を持つようになった人、子供の将来を考えて、環境保護の意識に目覚めた人などが、数多くみられます。そして、彼らが経営者として、また消費者として利益と社会的責任を両立させながら地球の持続可能性を第一に考えて行動する結果として、環境と健康を重視した商品やサービスを提供するLOHAS企業が台頭してきました。
LOHASは肩肘張らず、エレガントに
日本にこのLOHASを始めて紹介した「LOHASジャーナル」という雑誌のフランク・ランピー編集長によると、説明はこうなります。 「ローハスは、健康や環境を大切にするけど、なにかにつけて『〜してはいけない』という、杓子定規な我慢主義ではありません。『楽しさ』や『おしゃれさ』も同じく大事にし、自分なりのライフスタイルを組み立てればいいという気楽なスタンスが魅力です。でも、普通に消費生活を送る中で、どうせなら、エレガントでスピリッツのある商品を賢く消費し、そういう志のある会社を支持する。そして、不必要な消費は意識的に避け、シンプルでエレガントな生活を送る。それがローハスです」つまりLOHASな人々にとって消費活動そのものが「自己表現」なんですね。このような消費者の心の動きは、京都・嵯峨野の荒地を開拓して、日本初のスローライフを実践されている森孝之さんの「想いを売る会社」(朝日新聞社)という本にその動きが芽吹く経緯がくわしく書かれています。確かに、消費者にできるのは、「買うこと」と「買わない」ことだけです。やり方が気に食わない会社の製品は買わないことで支持せず、賛同できる活動をする会社の製品を買うことで支持すればいいわけです。商品の見栄えやコマーシャルで購入を判断する時代から、企業の姿勢を見据えて消費する時代へと変わってきた、ということでしょうか。少し長くなりますが、LOHASジャーナルのフランク・ランピー編集長の、あるインタビューでのお話しを紹介します。日本でもそうだろうが、米国では忙しい日々を過ごす人々の間で人生の中で何が重要なのかを模索するためにお金を掛ける動きが出ている。環境配慮型ライフスタイル分野も概して良い。パタゴニア(アウトドア衣料の通販メーカー)の成功が好例だ。LOHAS消費者は高品質の製品やサービスを求めており、経済状況に関係なく品質に対して余分にお金を払うことをいとわない。
☆企業も次世代を見据えて企業哲学を転換し、積極的に行動していると言える。しかし、われわれが見極めなければならないのは、企業が本当に持続可能な経済を実現する方向に向かっているのか、もしくはただ単にLOHAS消費者をマーケット対象と見なして搾取しているだけなのかということだ。
☆これは時間が経てば明らかになるだろう。ただ、LOHAS消費者は後者の企業にだまされるような存在ではなく、本当に市場で成功する企業かを判断することができる。トヨタ自動車のハイブリッド車「プリウス」が米国で非常に受け入れられているのがよい例だ。
☆われわれはスターバックスをLOHAS企業とは見なしていない。しかし、企業がLOHASを推進する動きはいつも肯定的にとらえている。スターバックスを例にとれば、大切なのは何故彼らが有機コーヒー豆販売を始めたかということだ。大企業グループの食品会社の中には有機食品を取り扱っている会社もあるが、彼らは社会的責任とか持続可能な農業のあり方を志向している訳ではないだろう。ニッチ市場で利益が出るという点に着目しているだけだ。もっとも、スターバックスがもっと有機コーヒー豆を売るようになれば、LOHAS企業と言わなければならなくなるだろう。
☆LOHASが面白いのは、企業がLOHAS消費者をマーケットととらえてビジネスを展開するのは簡単なのに、企業自身がLOHAS的な価値観を伴わなければビジネスそのものが成功しないという点だ。LOHAS消費者が企業をきちんと観察している証拠だろう。企業がLOHASを理解する動きがあちらこちらで見られるようになるのであれば、素晴らしいことだ。
さて、当社の「住宅リフォーム」という市場を創造する様々な活動のなかで、いかにLOHASなマインドを持つことができ、どう実践していくことができるのか、消費者の皆さんの厳しい眼差しを意識しながら、これからも模索を続けてまいります。ご声援をお願いします!
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